「高血圧ガイドライン(JSH2025)を踏まえた厳格降圧の実践-ARNIを上手に活かす-」
石切生喜病院 堀尾武史
(講演抄録)
昨年改訂された高血圧管理・治療ガイドライン(JSH2025)では、すべての高血圧患者に対する降圧目標が診察室血圧130/80 mmHg未満、家庭血圧125/75 mmHg未満に一本化された。わが国では降圧薬としてCa拮抗薬とARBの使用割合が非常に高いが、この2種を中心とした降圧治療下にて降圧目標の達成率はまだまだ低いという現況がある。糖尿病やCKD合併患者での目標降圧到達度はとくに低く、その背景には食塩感受性(塩分摂取に伴い血圧が上昇しやすい病態)があると考えられる。その一方で、食塩感受性高血圧に有効なサイアザイド系利尿薬のわが国での使用割合は、代謝面や腎機能への影響を懸念してか、Ca拮抗薬やARBに比べて非常に低い。
ARNI(angiotensin II receptor-neprilysin inhibitor)は、従来のARBの働きにナトリウム利尿すなわち塩分排出効果も併せ持つことにより、血圧コントロールが容易でない食塩感受性高血圧患者等の夜間~早朝血圧コントロールにも有効である。安全性の面では、副作用発現頻度が従来のARBとほぼ変わらないことから、ARBと同様のレベルで心配なく使用できる薬剤と考えられる。日常診療では、ARBからの切り替えやCa拮抗薬への上乗せなどを軸に、比較的早期の段階から幅広く使用できる降圧薬であり、ARNIを高血圧の日常診療にうまく用いることで、現行ガイドラインに示された厳格な降圧目標の達成率向上が期待される。