心不全ステージC/DにおけるGDMT最適化(要旨)
今西敏雄 先生(ひだか病院 副院長)
心不全は進行性であり、症状が軽微でも入院や突然死のリスクを常に抱えるため、治療の最適化が不可欠である。特にHFrEFでは、ARNI/ACEI/ARB、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬の「GDMT 4本柱」を早期かつ十分量で導入することが生命予後を大きく改善する。包括的薬物療法は心血管死や心不全入院を大幅に減少させ、寿命延長効果も示されている。高齢者でもMRAやSGLT2阻害薬の有効性は保たれ、年齢による治療控えは予後悪化につながる。
一方、実臨床ではRAS阻害薬やMRAの中止・過少投与が多く、特に高カリウム血症が治療ギャップの要因となる。しかし高カリウム血症は「リスク因子」ではなく、RAAS阻害薬中止を招く「リスクマーカー」であり、適切なカリウム管理により治療継続が可能となる。新規カリウム吸着薬ロケルマは迅速なK正常化と維持に有効で、RAAS阻害薬の継続を支援する。
GDMT最適化のため、当院では薬剤名と用量から自動計算される「Simple GDMTスコア」を導入し、退院時5点以上を目標に治療を調整した。その結果、GDMTスコアは有意に改善し、達成率も向上した。これは治療ギャップを埋める実践的ツールとして有用である。
HFpEFでは併存疾患管理とうっ血是正が中心で、予後改善効果が確立している薬剤はSGLT2阻害薬と一部のMRA(フィネレノン)である。高齢化に伴いHFpEFは増加しており、適切な血圧管理、利尿、併存疾患治療、必要に応じたARNIやMRAの使用が推奨される。